「あれ?どんぐりが足りない!」
寒い冬の夕方、リスさんは自分が営む森の便利屋さん「リスクル」の帳簿を眺めながら、ため息をつきました。外では雪がちらちらと降り始めています。
「1月は100どんぐり稼いだけれど、111どんぐり使ってしまって、11どんぐりの赤字。これは大変!早めに対策を考えないと…まずは収入と支出の内容をじっくり見直してみよう」
【収入】全部で100D(D=どんぐり)
お手伝いリス派遣 | 81D |
お仕事一括請負 | 18D |
余った木の実の販売 | 1D |
「リスクル」の収入源は大きく2つです。雇っているリスさんたちを派遣して、派遣した時間分のお金をもらうリス派遣サービス。そしてもう1つは、道具だったりお家だったり、何かを作って欲しいと依頼されて制作するお仕事一括請負。1月は全部で100どんぐりをお仕事の対価として受け取りました。
それでは続いて支払った方のどんぐりを見てみましょう
【支出】全部で111D
お手伝いリスさんへのお礼どんぐり (リスさん自身へのどんぐり含む) | 61D |
別の森のリスさんへのお礼どんぐり | 12D |
福祉どんぐり、年金どんぐり、介護どんぐりなど森全体の運営に差し出す用 | 12D |
木のお家の家賃 本社 | 2D |
木のお家の家賃 支社 | 1D |
お手伝いリスのお家の家賃 | 3D |
リスさんの手押し車 駐車料金 | 1D |
通信伝書鳩代 | 1D |
森の仲間とのご飯代 | 1D |
遠くの森への移動費用 | 1D |
水とか薪などの燃料費 | 1D |
道具代 | 1D |
森の集まりへの参加費 | 1D |
保険どんぐり | 1D |
リースどんぐり | 1D |
支払い手数料どんぐり | 4D |
その他 | 7D |
リスさんは、これらの支出項目のうち、毎月固定で出て行くどんぐりと、月によって変わるどんぐりに分けて分析してみました。
リスさんの考えた改善案
リスさんは、すぐにできそうな改善案と将来に向けた改善案を考えました
【すぐにできる改善①】変動どんぐりを見直す
「なるほど。お店の木の家賃7どんぐりは固定どんぐりだから、すぐには削減できない。でも、伝書鳩代や道具代は変動どんぐり。ここなら工夫次第で節約できそう!」
- 伝書鳩の使用を見直す
- 近場のお客様にはカラスさんの伝言サービスを活用
- 道具の購入頻度を見直す
- 道具はまとめ買いで割引を得られるように購入する
【すぐにできる改善②】不明瞭な帳簿の付け方を止める
「だけど、地道に1どんぐりとか2どんぐり代を減らしても、全体にはあまり影響はないな」
「そういえば帳簿に『支払い手数料』『その他』って分類しているものが合わせて11どんぐりもあるのが気になる。何に使っているのかちゃんと書くようにしないと。もしかしたら減らせるものもあるかもしれない」
【長期的な改善①】新しいサービスで収入増を狙う
「無駄をなくすのは大事だけれど、それ以上に手に入るどんぐりを増やすことがやっぱり大事だ。新しいサービスを考えてみよう」
- 春に向けて「巣作りワークショップ」を企画
- モグラさんと協力して「地下倉庫づくり講座」を開催
「うんうん、新しいサービスを考えるのは楽しいなあ」
【長期的な改善②】手伝ってくれるリスさんを探してくる
「でも待てよ。うちの1番の売り上げの柱はお手伝いリスの派遣サービスだ。これは手伝ってくれるリスが増えれば増えるほどもらえるどんぐりが確実に増える。急激に増えたり減ったりはないけれど、安定的にどんぐりがもらえるサービスで、うちがずっとやってきた得意分野だ。だからお手伝いしてくれるリスさんを探して来ることもやらなきゃね」
- 具体的な方法①:他の便利屋さんで働いているリスさんをお金を出して誘ってくる
- 具体的な方法②:これから大人になるリスを雇って、一リス前に育てる
お金を出して優秀なリスを探してくる方法は、今すぐにでもできます。でもこの方法は、他にもっとお金を出してくれるところがあれば、そのリスはまた別のところに行ってしまう、という問題点があります。
半リス前のリスを見つけてきて、一リス前に育てる、という方法もあります。この方法は時間はかかるし、うまくいかない可能性もあります。でもうまく育ってくれれば、長く一緒に働いてくれる可能性があります。
「あとは何かできることはあるかな…そうだ!」
「来週、ウサギの便利屋さんのところに挨拶に行く予定があったんだ。
ウサギさんのところはうまくいっていてお手伝いさんも増えているって評判だ。挨拶にいくついでに帳簿も見せてもらおう。きっと参考になるはず!!」
【読者の皆様へ】
「会社のことをもっと知るために、会計について勉強しよう。まずは会社の単月の収支について把握しよう!」と思って数字と向き合おうとしたのですが、どうしても眠くなってしまいました。そこで楽しく考えられるように会社の数字を、収入を100どんぐりとしたリスの便利屋さんの帳簿に置き換えてみました。もちろんフィクションなので、細かい数字は変えてあります。
でもこうすることで、比率が分かりやすくなりました。
固定費(家賃や機器のリース代など)は、短期的な削減が難しい一方で、変動費(外注費や消耗品費)は、工夫次第ですぐに改善できます。まずは変動費から見直してみること。そして、基本的なことですが、何にお金を使っているかを把握することが大切です。
同時に固定費を削減するための方法はないかを探ることも同様に大切です。
また、経費削減と同時に、新しい収益源を検討することも重要です。既存のリソースやノウハウを活用した新サービスなら、追加の固定費を抑えながら収益アップを狙えます。
次回は、リスさんがウサギさんの便利屋の経営方法から、いろいろなことを学んでいく予定です。他社との比較を通じて、経営改善のヒントを見つけていきます!
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